
USCPAの受験資格や、どれぐらいの英語と会計の前提知識がいるのかについてまとめてみました。
しかし受験するかを決めるその前に、まずは試験のことを知りましょう。
Contents
受験を決める前に知っておきたい試験のこと
1 どんな試験内容なの?
USCPA試験は4科目を受験する必要があります。
科目名 | 略称 | 内容 |
Financial Accounting and Reporting | FAR | 簿記 |
Auditing and Attestation | AUD | 監査論 |
Regulation | REG | 税法がメイン。他、職業倫理やビジネス法 |
Business Environment and Concepts | BEC | 管理会計、経営学、経済学、IT等の幅広いビジネス関係 |
「4択式はいけると思うけど、総合問題はちょっとレベルが。。。」
と思うかもしれませんが、実際そんなに難しくありません。
というのも、総合問題と言いつつ、答えの欄に「計算結果の数字を入力する」or「(文章であれば)何個かの選択肢から正しい答えを選ぶ」形式になっており、4択問題の延長にすぎません。問題が長文になったり、複数資料を参照しないといけなかったりするので、多少難易度はあがりますが、躊躇するほどのレベルアップではありません。慣れればクリアできます。
ただし、BECのWritten Communicationについては、ガチの英語論文です。これだけは日本人に圧倒的不利と言えるでしょう。しかし幸運なことにWCはBECのみ、かつ15%しかでません。もちろん論文を捨てるという選択肢はないですが、予備校から出される代表的な問題を丸暗記すれば十分合格圏内です。
試験内容については以上としますが、何よりも試しにやってみるのが一番だと思います。
リンク先に米国公認会計士協会の出すサンプルテストがあります。ぜひ試してみてください。
なにも対策せずに受けると難しいとは思いますが、まずはどんな試験か知りましょう。2カ月ぐらい勉強するとけっこうサクサク解けるようになりますので、難しいとかは今の時点でそんなに心配いりません。
リンク先の真ん中左あたりの
「Practice with the FAR sample test」
等を押すと、Launch codeが出てくるので、これをコピペしてLaunchするとスタートできます。
2 いつ、どこで受けられるの?
USCPA試験の特徴のひとつですが、けっこういつでも受けることができます。
基本的には3月11日~3月31日、6月11日~6月30日、9月11日~9月30日、12月11日~12月31日を除く約9か月間で受験会場に空きがあれば土日でも受験可能です。
そして、日本でも受験可能です。日本であれば東京(御茶ノ水)、大阪(中津)で受験可能です。いずれも駅近のアクセスが便利な位置にあります。
試験は全科目同時に受けるわけではなく、各科目ごとに受験しますが、順番等は決まっていませんので、自分の得意不得意、勉強できる時期を考えて日程を決めていきます。
注意が必要なのは、科目合格の有効期限は18ヵ月ということ。1つ合格すれば、残りの3科目を18ヵ月以内にとる必要があります。ただ、一般的な1年という勉強期間は1年ですので、計画的に勉強すれば期限切れは避けることができると思います。
3 受験資格は?
日本の公認会計士の場合、受験資格はありません。最年少で16歳の高校生が公認会計士になっています。
一方で、USCPAは受験資格があります。そして、これが州によって異なるためややこしいのですが、多くの日本人が出願するアラスカ州では、4年制大学卒業・会計単位を15単位以上保有していること。
商学部を卒業していれば、多くの人はこの要件を満たすでしょう。満たさない場合でも、予備校で単位をとることが可能ですので心配はいりませんが、単位取得にはお金がかかりますので出費が増えることにはなります。
また、大卒でなくてもモンタナ州は大学卒業が要件となっていないので受験可能です。(ただし、大卒でないとライセンスがとれないのでその点で留意は必要です。)
なお、出願州と合格後のライセンス登録は異なる州で行うことができます。
日本在住者の代表的なパターンは
アラスカ出願→ライセンスはワシントン
ライセンス登録にも条件が必要で、このパターンが日本人にとりやすい方法なんです。ニューヨーク州の方がかっこいい!と思っても、米国在住、実務経験等の要件が日本在住者には厳しいのです。
4 どのぐらいの会計力が必要なの?
日商簿記2級程度の知識で対応可能です。
日本の簿記と違う部分もあるのですが、簿記の概念や大きな考え方は同じなので、まずは簿記2級を取得できるレベルになりましょう。
私の知っている合格者にも、英語はある程度できるけど、会計は全くわからなかった。。。という人もいます。この人も簿記2級を取得してから受験勉強を開始したそうです。
簿記2級は200時間程度で取得できます。簿記1級は難しく、万人にオススメできる資格ではありませんが、簿記2級はたとえUSCPAを受けなくても取得をオススメするよい資格だと思います。
5 どれぐらい英語力が必要なの?
「読む」は必要です。
「書く」は少しだけ必要です。
「聞く」は全く不要です。
「話す」も全く不要です。
TOEICでいうと700点ぐらいが目安かと思います。
それなりに英文が読めるレベルであれば、あとはよく出てくる単語、質問パターンから質問の意味を類推できます。
最初は何を聞いているのかTOEIC高得点者でもわかりません。900点もっていようが、700点だろうがどっちにしても最初はわからないので、深く気にする必要はないと思います。「大学受験を突破した!」レベルの英語力で十分です。
2か月我慢して問題を解き続ければ、自然と問題の意味がわかるようになります。これは本当です。
最初に書いたようにWritten Communicationだけは、英語力の差が如実にあらわれると思いますが、そこは丸暗記等で対応すればよいだけです。
まとめ
英語の会計の試験だからといって、過度に恐れる必要はありません。
会計知識は完璧である必要はなく、英語も「読み」だけで十分なのです。
もちろん簡単ではありません。挫折した人がいるのも事実だと思います。
ただ、難易度のわりに評価が高い資格ですので、コスパのよい資格といえます。
さらに勉強を通じてビジネス英語力が強化されます。これはグローバル化の進む今、最大のリターンです。(USCPAの資格が不要の方でも、ビジネス英語教材として使えるのではないでしょうか。)
社内・家族・友人からの評判、転職市場での評価、できる仕事の幅は広がり、何より自分の自信につながります。
私は取得してよかったと思っています。