
公認会計士として、なかなか衝撃的なニュースを目にしました。
Former KPMG executive director pleads guilty to audit fraud scheme
このReutersの記事やその他の関連記事によると、KPMGは元PCAOB職員を品質管理目的で雇っていましたが、彼女が古巣のPCAOBの関係者からPCAOBによるKPMGの調査対象クライアントリストを入手し、KPMGはそれを利用して調査前に事前準備をしていたようです。場合によっては、アーカイブ済(確定済)の調書に、調書を追加したりして対応していたようです。
通常、監査法人への調査はクライアント単位で行われます。そして、どのクライアントが調査対象となるかは、直前か、当日までわかりません。だからこそ、監査に緊張感が生まれ、よい刺激を与えることができるのですが、事前に調査対象が分かってしまえば、「そのクライアントさえしっかりやっていればよい」という空気が流れかねません。
今回のKPMGの問題に関しては、ごく一部の人が勝手にやっていただけなのでしょうが、職業的倫理観は皆無と言えますし、信頼性を最も重視すべき監査法人の信頼失墜につながりかねない悪質な不正と言えます。
日本であれば業務停止レベルの問題ではないでしょうか?
今後の展開に注目したいと思います。