USCPAのFARやREGの勉強をしていると、似たような謎の言葉が出てきます。
Form 10-K、10-Q、8-K、4
Regulation S-X、S-K、S-T
なので、日本人にも馴染みのあるAmazon の開示書類から、どういうものかイメージしてみましょう!
Contents
10-Kとは?
10-Kは年に一度、SECに提出する書類で、日本だと有価証券報告書に相当するものです。
財務諸表だけでなく、社歴、ビジネスの内容、リスク要因等を記載した会社の1年間で起きたことのレポートのようなもので、開示の様式は決まっています。
なので、どこの会社のものをみてもだいたい同じように仕上がっています。
そして、文章と数字がひたすら続くので、苦手な人は退屈でしょう。
Annual Report と 10-K の違い
ここで、10-Kと同様に年に一度開示するAnnual Reportとの違いもついでに見てみます(USCPA試験では出ないでしょうが。)。Annual reportは株主への報告書みたいなもので、SECに提出するために記載事項が定められている10-Kと違い、数字や文章だけでなく写真や図がたくさん載っています。これはSECではなく株主に提示する資料で、会社がどれだけ魅力的で投資すべきかをプレゼンしてる資料のようなものだからです。
なお、AmazonのAnnual reportは、図とか写真も無くて、数字とかの部分は10-Kをそのまま載せています。BoeingやAlphabet(Googleの親会社), Starbucksも10-Kを流用していますし、作成のコストを考えると流用自体は効率的で珍しいことではありませんが、写真もないと言うのはさすがに珍しいと思います。
この11ページを見ていただくと、10-KがそのままAnnual reportに載っているのがわかります。
たしかにAmazonは例としてわかりにくいですね。。。
話をわかりやすくするためにAnnual reportで、10-Kを利用していない例としてIBMを参考に載せておきます。
これを見ていただくと、10-KとAnnual report の違いがわかると思います。
特に25ページ以降のReport of Financialsの部分が10-K流用派とは大きく違うところですね。
しかし、わざわざ手間がかかる資料を2回作ることを考えると、10-Kをそのまま流用する会社の方がコスト意識は高そうです。
10-Qとは?
これは、四半期ごとに提出する資料で、日本だと四半期報告書に相当します。
第4四半期(Q4)は10-Kを提出しますので、10-Qが必要なのはQ1〜Q3の3回ですね。
10-Kよりも開示要求事項が少なく、シンプルになっています。
Amazonの2017年度の10-Kが86ページに対し、2018年度Q3は51ページです。
8-Kとは?
8-Kは投資家への重要情報の開示で、日本の適時開示に相当します。
役員の退職や、株主総会の議決権行使状況等、開示対象は幅広いですが、個人的には以下のResults of Operations and Financial Conditionが大事だと思います。これは日本では決算短信に相当するものです。(unauditedと書かれていますね。)
Amazon 8-K Results of Operations and Financial Condition
Form 4とは?
Form 4は、役員や大株主の株式保有状況に変更があれば提出するもので、日本の大量保有報告書に相当します。
以下のForm 4ではCEOのJeff Bezosが株を売ってますね。
Regulation S-X、S-Kとは?
Regulation S-XとS-Kは、財務諸表に含まれるべき要求事項や内容について定めているもので、日本の財務諸表等規則に相当します。
RegulationはSECにFilingされる資料ではなく、提出する資料についての形式を定めているものです。
S-Xは、財務情報に関連する規定で、例えばBS含めましょうとか、何年分記載しましょうとか、ドル表記にしましょうとかそういうことが定められています。
S-Kは、非財務情報に関連する規定で、ビジネスの状況とか、財務諸表ではないところの開示情報に関する事が定められています。
SEC Rules, Regulations and Schedules
S-KとS-Xはどちらかを利用するというわけでなく、例えば10-Kを作成するなら両方の規定の影響を受けます。
なお、現在これらの開示規制については簡素化に向けて見直しを予定しているようです。
Regulation S-Tとは?
Regulation S-Tは、EDGAR(日本のEDINETに相当)への電子申告ルールを定めているもので、例えば10-Kの開示義務はEDGARシステムに10-Kをアップすることで達成されます。
なお、EDGARは、Electronic Data Gathering, Analysis and Retrievalの略称で、EDINETはElectronic Disclosure for Investors' NETworkの略称です。
まとめ
以上、USCPA試験勉強で見かけたFiling関係のまとめでした。
多少なりともイメージを持った方が覚えやすいと思います。
ただ、私の場合は本番の試験では出てきませんでした。ざっくり内容を把握しておけば十分でしょう。