
専業主婦や学生、無職の方で、上場株式等の配当収入だけがあるひとは、確定申告をすることで源泉徴収された税金を取り戻すことができます。
数万円の還付がある可能性もあります。
むずかしそう。。。
具体的な条件、方法を見ていきましょう。
Contents
- 1 どうして還付されるの?
- 2 還付できる可能性がある人
- 3 確定申告の方法
- 4 実際にやってみる
- 4.0.1 「作成コーナートップ」
- 4.0.2 「税務署への提出方法の選択」
- 4.0.3 「申告書等印刷を行う前の確認」
- 4.0.4 「作成する申告書等の選択」
- 4.0.5 「入力方法選択」
- 4.0.6 「申告書の作成をはじめる前に」
- 4.0.7 「収入金額・所得金額の入力」
- 4.0.8 「金融・証券税制(入力項目の選択)」
- 4.0.9 「金融・証券税制(特定口座)」
- 4.0.10 金融・証券税制(源泉徴収口座の配当控除入力1)
- 4.0.11 「金融・証券税制(源泉徴収口座の配当控除入力2)」
- 4.0.12 金融・証券税制(入力項目の選択)に戻る
- 4.0.13 収入金額・所得金額の入力に戻る
- 4.0.14 「所得控除の入力」 と 「税額控除・その他の項目の入力」
- 4.0.15 計算結果確認
- 4.0.16 住民税等入力
- 4.0.17 「住所・氏名等入力」「マイナンバーの入力」
- 4.0.18 申告書等印刷
- 4.0.19 郵送
- 5 入金!
どうして還付されるの?
そもそも、どうして配当に係る所得税が還付されるかというと、①配当の税金は源泉徴収される+②配当所得には2つの税率が存在するからです。
①源泉徴収
配当の源泉徴収は、配当額×20.315%(住民税含む)が口座に入る前に事前に天引きされて、国に収められています。
例えば、配当金が10万円あったとしても、20,315円は天引きされ、私の口座には79,685円しか入りません。
確定申告をしない場合は、この税額で確定してしまいます。
②2つの税率
そして配当の税金計算方法は2つあります。総合課税と、分離課税です。
総合課税は他の所得も含めて、所得が増えれば増えるほど税率が上がります。逆に所得が低ければ税率は低いんです。
一方で、分離課税では上記のとおり一律20.315%。
なので所得が少ない場合には、総合課税の税率が分離課税の税率を下回るため、その差が還付されるという話になります。(さらに、総合課税では配当控除と呼ばれる課税所得を小さくする措置が取られていることも総合課税が有利になる要因です。)
例えば、上記の10万円が課税所得だとすると、所得税の納税額はゼロになります。総合課税で確定申告することで、すでに納付している所得税は全額還付されることになります。
還付できる可能性がある人
具体的な条件
- 配当所得あり
- 源泉徴収あり
- 配当所得を含めた課税所得が38万円以下
以上の条件すべてに当てはまる人は、何も考えずに確定申告しましょう。所得税は全額還付されます。
専業主婦(主夫)、学生、無職の方が当てはまる可能性があります。
今回の記事では、上記の条件に当てはまる人を前提に申告方法を解説します。
そして38万円を超えても、配当を含めた課税所得が695万円を超えない場合であれば、全額ではないですが還付されますので、検討する価値はあります。
申告すべきでない人
- 夫の配偶者控除を使いたい人。(38万円以内なら問題なく配偶者控除を使えますが、38万円超になると使えません。)
- 695万円超の課税所得がある人。
- 国保加入者で、住民税申告を別途する気がない人は、国保料金が上がる可能性があるので注意。
国保と配偶者控除は気を付けましょう!別途、住民税申告で申告不要制度を選ぶこともできますが、ひと手間増えますので十分検討しましょう。
確定申告の方法
準備するもの
他の収入や申告すべきものはないのが前提です。確定申告書は、郵送を前提に説明します。
- 特定口座年間取引報告書(紙)
- 銀行口座番号
- マイナンバー
- 身分証明書
- 封筒(2通)
- 切手(送付用と返送用)
ネット証券の場合、設定によっては紙の特定口座年間取引報告書を送ってくれないケースもありますので、この場合は証券会社のホームページで送付を依頼しましょう。確定申告前になると、だいたいトップページに案内が出ていると思いますので、画面に従い送付を依頼しましょう。
国税庁の確定申告書等作成コーナーサイトへGO!
2019年の確定申告サイトはこちら。
こちらのコーナーにまずはGO!
実際にやってみる
「作成コーナートップ」
まずは、「作成開始」を押します。
「税務署への提出方法の選択」
以下の画面になりますので、「印刷して書面提出する」を選びます。
「申告書等印刷を行う前の確認」
ここでは、「利用規約に同意して次へ」を選びます。
「作成する申告書等の選択」
「平成30年分の申告書等の作成」を押すと、下記のように画面が展開されるので、「所得税」を選びます。
「入力方法選択」
今回は配当所得についての申告ですので「左記以外の所得のある方:作成開始」を選びます。
「申告書の作成をはじめる前に」
ここでは、青色申告のチェックは選びません。配当還元だけが目的の人は選択不要です。個人事業主等の方で届け出を出していれば選びましょう。
あとは生年月日を記入します。
申告書イメージした入力画面もありますが、今回の解説では選びません。
「収入金額・所得金額の入力」
次に、「配当所得」の「入力する」を選びますが、総合課税の方を選びます。下にスクロールすると分離課税にも似たような「上場株式等に係る配当所得等」がありますが、こちらは選びません。
「金融・証券税制(入力項目の選択)」
1の課税方法の選択は「総合課税」を選びます。
2の株式等の売却・配当・利子等の入力では「「特定口座年間取引報告書」の内容を入力する」を選びます。
(なお、特定口座を開設していない場合、証券会社から「配当等の支払通知書」が来ると思います。この場合は「「配当等の支払通知書」などの内容を入力する」を選びますが、ここでは解説しません。画面指示に従えば入力可能だと思います。)
「金融・証券税制(特定口座)」
次の画面では、源泉徴収は「有」を選びます。勘定の種類は手元の取引報告書を参考に選択します。そして、申告するものには配当等を選びます。もし、譲渡所得がある場合は合わせて申告しますが、上述のとおり、38万円超の場合は申告すると不利になるケースもありますので十分確認しましょう。
上の図のように設定すると、下のような画面が出てきます。そこに、取引報告書の数字を転記します。証券会社名を入れると一番下に入力結果が出てきますので、確認したら「入力終了」を押します。
上の図は、下記のカブドットコム証券のサンプルを使って転記しています。記載の通り1,500円、229円、75円を転記するだけです。
金融・証券税制(源泉徴収口座の配当控除入力1)
ここでは「配当控除の入力」を押します。
「金融・証券税制(源泉徴収口座の配当控除入力2)」
次の画面では、単純に株式配当だけなら「計算」を押して「入力終了」です。入力1の画面に戻るので、「入力終了」で進めましょう。
ここで、投資信託等がある場合、少しめんどくさい作業があります。該当の投資信託の種類、外貨建資産割合を確認する必要があります。特定口座年間取引報告書の明細をよく見ると、摘要欄に外貨建て資産割合が書かれていますのでこれを参考に入力します。
参考に、日興証券のサイトにあったサンプルを見てみましょう。
例えば、上記のサンプルだとグローバル短期債券Fは「約定規定なし」なので75%超のところに金額を入れます。(約定規定なし、制限なしの場合は、75%超のところに金額を入れることになっています。)
ジャパン高配当株式ファンドは「10%以下」なので、入力はせず「差引」のところに表示されることを確認します。
ここに記載はありませんが、「65%以下」であれば、50%超、75%以下のところに入力していきます。
金融・証券税制(入力項目の選択)に戻る
先程の画面に戻ってきます。下の方にスクロールし、「平成29年分の申告で上場株式等に係る譲渡損失の金額を繰り越した方」を選びます。去年の確定申告で損失繰越をしていなければ「いいえ」を選び、「入力終了」です。
収入金額・所得金額の入力に戻る
ここは、総合課税の配当所得にきちんと金額が入っているか確認して次に進みます。
「所得控除の入力」 と 「税額控除・その他の項目の入力」
ここは、専業主婦等で38万円以下の所得の人は特段なにもしなくてOKです。38万超~695万円までの人は、使える控除があれば使いましょう。
税額控除では、配当控除額があらかじめ入力されていると思いますので確認して「次へ」進みます。
計算結果確認
ここで、所得税がいくら還ってくるかわかります。
今回のケースでは、見事に全額が還付されています。
住民税等入力
「住民税・事業税に関する事項」を選び、1の徴収方法と2の扶養親族はあれば入力しましょう。
徴収方法については、還付なので選ぶ必要はないのですが、一応「自分で納付」を選ぶ方が無難でしょう。還付なので職場にばれるリスクはないですが、他に所得がある人は選択項目の関係で納付が生じていたりする可能性もあるので念のため。
1,2以外の項目でも当てはまるものがあれば入力しましょう。
「住所・氏名等入力」「マイナンバーの入力」
ここでは、還付金の入金方法、氏名や住所、マイナンバーを記入します。
郵便番号を入れると管轄の税務署も自動で入力されます。
そしてついに「申告書作成終了」です。
申告書等印刷
印刷する帳票はすべて選択して印刷しましょう。
そして、各申告書に押印を押して、台紙に身分証明書とマイナンバーカードのコピー等を貼って準備完了です。
郵送
郵送するものは、
- 確定申告書Bの第一表と二表(提出用)
- 確定申告書Bの第一表と二表(控用)
- 上記のコピーをはった台紙
- 特定口座年間取引報告書(紙)の原本
- 控用の返送のために宛先に自宅の住所を書いて、切手を貼った封筒
です。
控用は、税務署で受付印を押して返送してくれますので、控の重さを測って必要な切手を封筒に貼って送りましょう。
あとは、特定口座年間取引報告書は返送されませんので必要であれば事前にコピー等を取っておきましょう。
送付先については「提出書類等のご案内」にコピーされていますので、それを切って貼れば問題ありません。
入金!
郵送したら、税務署から1週間ぐらいで控が返送されます。そして、1ヶ月ぐらいしたら還付金が入金されます。
なお、確定申告の時期は2019年は2月18日から3月15日ですが、還付の場合は特に時期は決まっておらず、2019円1月1日から5年間のあいだに出せば受け付けてもらえますので、2月を待たずして申告することも可能です。
あと、住民税の方の還付はやや時間がかかります。気長に待ちましょう。