USCPA試験は日本の公認会計士試験ほど難しくはないと言われています。

では、専門学校の授業を受けずに英文テキストのみの独学で合格可能でしょうか?

独学はオススメしない

USCPA試験は英語であり、今後はUSCPAという英語+会計分野のエキスパートとして生きていくんだから、英語で学ぶ方がいい。難しいかもしれないけど、専門学校は高い。値段も安くて、英語の勉強にもなるし一石二鳥!

と思うかもしれません。それはその通りです。

ただ、結論から言うと、私は常人には独学をオススメしません

理由は、

  • どうしても理解が浅くなる。たぶんこういうことかな?という状況が多発します。
  • 日本語で学ぶのに比べて2倍以上の時間がかかる。概念を英語で学ぶのは実は初めて!?
  • 独学に適した日本語テキストが市販されていない。
  • 日本語の会計用語を勉強できない。

 

逆に独学をオススメするのは、英語圏の教育機関で数年勉強している人です。

こういう人は、英語で学んできた経験を活かし、英文テキストをきっと使いこなせるんだと思います。安く合格してしまいましょう!

オススメしない理由

1理解が浅くなる

英語で専門分野を学ぶことは思っている以上に非常に難しいです。

中学・高校・大学・TOEICの勉強は、すでに知っていることを英語で学ぶケースが多かったと思います。例えば「これはペンです=This is a pen.」。「これは」知ってる、「ペン」知ってる、「です」知ってる。日本語で完全に理解している事を勉強しているわけです。つまり翻訳的な英語の勉強です。

一方で、会計、税金計算、監査、ビジネスといったことを学ぶのは初めてという人にとっては、概念の形成からのスタートなので、知らないことを英語で初めて勉強することになる可能性が高いでしょう。

日本語でもハードルが高いのに、いわんや英語をや!

英語力がある程度あればざっくりはわかると思います。ただ、細かい問題が出たときにやはり「???」となる可能性は高く、解説を読んでもよくわからない、質問相手がいないというのは結構つらいです。質問を投げたり、日本語解説を聞けば1分で解決できるような問題も、Googleで検索し、Another71というサイト(受験生の掲示板)に行きつき、受験生同士の議論を見たりして「こういうことなのかな?」という不完全燃焼で終わる可能性が高いです。そして、この「??」の質問、結構あります。

USCPAにさっさと受かるためにはまずは日本語で理解し、そこで覚えたことを英語に置き換えていく方のが効率的です。

2時間がかかる

英語なので当然読むのに時間がかかります。そして、理解に時間がかかります。

概念を英語で勉強するのは先ほどのとおり、多くの人にとって初めてのことです。

英語で学習した場合、ネイティブ並みの上級者でない限り、私は日本語の2倍の時間はかかると思います。

もちろん、長期戦を覚悟の上で開始する分には問題ありません。

ただ、問題になるのはUSCPA試験は試験合格失効リスクがあることです。4科目で構成されているのですが、1科目受かると、そのあと18カ月以内で他の3科目を受からないと、1科目目の合格が抹消されてしまいます。ある程度の短期決戦が求められる中、英語での学習に固執すると後悔する可能性もあります。

3独学に適した日本語テキストがない

英語のネイティブであれば、独学用の英語テキストは本場アメリカで毎年適時にアップデートされていくので、独学は当然可能でしょう。

一方、最新の情報が含まれた日本語のUSCPAテキストは専門学校でしか手に入りません。

古いものは中古品で出回っていますが、近年、会計基準や税法の改定は多く、試験問題に大きなインパクトがあります。いまは、中古を買うときではありません。

例えばFAR。非政府組織会計が2018年から大きく変更されています。2019年にはREGにおけるトランプ税制の改定、そしてそれ以降もAUDにおけるCAM(Critical Audit Matter)の導入など大きな変化が控えています。

基準等を間違って古いまま覚えていると答えが全然違ってくるケースもあります。

4日本語の会計用語が学べない

英語で会計を学ぶと、当然ですが日本語の会計用語は身につきません。

しかし日本で働くのであれば、むしろ日本の会計用語の方がはるかに目にする機会は多いでしょう。

どうせならUSCPAも学びながら日本の用語も覚えた方が実践的だと思います。USCPAで基本的な日本語の会計用語・監査用語は押さえることができます。

日本語で学んだら英語力はつかないのでは?

日本の予備校で勉強したとしても、問題集等は基本的には英語です。勉強時間全体で言うと日本語2割、英語8割ぐらいのバランスになるので、英語力はどっちにしても付きます。毎日のように数時間、英語の問題を解き続けるんです。いやでも英語力はつきます。いわゆる多読学習に近い結果がもたらされます。

日本語で学ぶといっても、あくまで理解の部分で日本語に助けてもらうだけという感じです。

英語力の強化という意味では、英語で学んだ人に劣るわけではありません。アプローチ方法が違うだけで、むしろ多くの日本人には日本語インプット、英語アウトプットの方が効率がいいはずです。

まとめ

USCPAを勉強し始める人は、なんらかの目的をもっていると思います。

USCPAはその目的のための手段です。手段は早く得るに越したことはありません。大半の人にとって、日本人を相手にノウハウを蓄積してきた専門学校の力を借りるのが手っ取り早いでしょう。

英語で勉強した方が英語が身につくとは限りません。このあたりは割り切って、資格を取るということにまずは専念すべきだと思います。

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